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遺言とは?|種類やそれぞれのメリット・デメリット

  • 文責:所長 弁護士 羽藤英彰
  • 最終更新日:2025年1月7日

1 遺言とは

遺言は、遺産分割方法の指定をはじめとして、自身の死後、何がどうあってほしいかということについて意思表示しておくことです。

たとえば、相続が発生すると遺産分割が開始されますが、被相続人の遺言がある場合には、相続人たちは原則として本人の生前の意思を尊重し、遺言通りに分割を行わなくてはなりません。

このように、遺言は他の人が従わなくてはならない法的な効力を持ちますから、有効に規定できる項目や、書き方の方式も民法で厳格に決められています。

⑴ 遺書との違い

遺言と混同しやすいものに「遺書」があります。

遺書は、死期が迫っている人が遺される人々に向けて主に自分の気持ちを述べるもので、遺言のように遺産相続等の権利変動をもたらす役割・目的はありません。

形式の定めがなく、例えばビデオメッセージやパソコンでの作成も自由で、民法で定められた遺言事項以外でも何を書くのも自由ですが、法的効力は認められません。

⑵ 十五歳以上の意思能力者なら誰でも遺言を書ける

十五歳以上で意思能力のある者であれば、誰でも遺言を遺すことができます。

意思能力とは、自分の行為がもたらす結果を十分に認識・理解できる力のことを指します。

したがって、一般的にこれが困難と考えられる重度の認知症患者等は有効な遺言を書くことが難しく、もしそのような方が遺言を書きたい場合は、医師の診断と弁護士のサポートを受け、相続開始後に争いにならないよう細心の注意を払う必要があるでしょう。

遺言書は、自分が元気なうちから作成しておくことが大切です。

2 遺言書でできること

前述の通り、遺言事項として効力を持つものは民法で決められています。

遺言事項として代表的なものは以下のようなもので、これらについての記載は法的効力を持ちます。

・遺産分割方法や相続分の指定

・遺贈

・特別受益の持ち戻し免除

・遺産分割の禁止

・相続人の廃除や廃除の取消し

・遺言執行者の指定

・未成年後見人の指名

3 遺言をのこすメリット

遺言をのこすメリットはたくさんあります。

⑴ 将来の紛争に備える

相続は大変揉めやすいテーマです。

仲のよい家族の間でも、遺産をめぐって話がこじれ、時には審判・裁判にまでもつれこみ、結局絶縁関係になってしまったというケースは、決して珍しくありません。

ご自身の死後、遺産をめぐって親族が対立するようなことは、誰しも望まないでしょう。

遺言の中で誰が何を相続するか明確に分けておくことで、遺された人々には争う余地がなくなり、結果的にトラブルの予防につながります。

⑵ 相続させないこともできる

生前、推定相続人から被相続人に対する虐待や重大な侮辱があった場合、その人物を廃除する旨を遺言に記せば、相続権を剥奪できます。

なお、その場合は廃除の手続きを行う遺言執行者の指名も必須になります。

虐待とまではいかずとも、相続人の中に、日頃の行いからみて相続させたくないと感じる人がいる場合ももちろんあるでしょう。

そのような相続人に遺産を渡さず、他の人に全て配分することも自由です。

ただし、兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」という権利が保障されているため、全く相続させない内容の遺言は、後日争いになる可能性が高まります。

遺言はご自身の意思を死後にも反映させる大切なものですが、その分、内容にも十分配慮する必要があります。

4 遺言の種類

遺言には、大きく分けて、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。

この他、亡くなる間近な人が行うことができる特別な遺言もありますが、ここでは省略します。

⑴ 自筆証書遺言

遺言者が財産目録を除く全文と、日付・氏名を自分で手書きし、押印する遺言書です。

第三者に遺言の内容・存在を知られることなく、簡単かつ費用をかけずに作成できますが、方式不備で無効とされるおそれがあること、偽造・変造・隠匿・不発見のおそれがあること、家庭裁判所の検認手続が必要といったデメリットもあります。

⑵ 公正証書遺言

公証役場で作成及び保管する遺言書です。

証人2人以上の立会いのもと、遺言者は公証人に口頭で遺言書の趣旨を伝えます。

それをもとに公証人が作成した遺言書を遺言者・証人が確認し、各自が署名・押印することで作成完了です。

作成の際に費用がかかりますが、公証人役場において公正証書の作成等を行う法律の専門家である公証人が作成に関与しますので、適正な内容での遺言が可能であること、後日、無効等の主張がなされる可能性が低いこと、公証人が遺言書の原本を保管しており破棄・隠匿のおそれがないこと、家庭裁判所の検認手続が不要といったメリットがあります。

遺言者がご高齢であるとか入院中で病状が優れない場合には、後日遺言能力が問題とならないようにするため、公正証書遺言を作成されることをお勧めします。

公証人に自宅や病院まで出張してもらうこともできます。

⑶ 秘密証書遺言

遺言の作成・保管は自分で行うものの、「遺言書の存在」を公証役場で保証してもらう方法です。

遺言者が署名・押印した遺言書を自分で封印し、公証役場にて公証人1人と証人2人の前で、自分の遺言書であること、氏名及び住所を申述します。

遺言者が自書する必要がない(ただし署名は自署が必要)というメリットはありますが、隠匿・不発見のおそれがあること、要件不備で無効とされるおそれがあること、家庭裁判所の検認・開封手続が必要といったデメリットがあります。

実際にはあまり利用されることはありません。

5 遺言の種類別メリット・デメリット

最もポピュラーなのは、やはり自筆証書遺言です。

公証人や証人に依頼する必要がなく、紙とペンさえあればすぐに自分で作れる気軽さが特徴ですが、次の表にあるようにデメリットも大きいです。

それぞれのメリット・デメリットを簡単に表にまとめると次のようになります。

種類 メリット デメリット
自筆証書遺言 ・費用がかからない
・いつでも簡単に作成できる
・遺言の内容を秘密にできる
・修正や破棄が容易
・法務局の遺言書保管制度を利用できる
・作成の要件を満たさず、無効になるリスクが高い
・隠ぺい、改ざん及び紛失等リスクがある
・保管場所によって相続人に発見してもらえない可能性がある
・相続人は、原則として検認手続きが必要
公正証書遺言 ・ほぼ確実に要件を満たし、無効になりにくい
・原本を公証役場で保管してもらえるので隠ぺいや改ざんのリスクがない
・仮に手元の正本を紛失しても、公証役場の原本から再発行してもらえる
・相続人も検認手続が不要
・費用がかかる
・証人が2人以上必要
・証人と公証人に遺言内容を知られる
秘密証書遺言 ・遺言の内容を秘密にできる
・署名さえ手書きすれば、本文や目録は手書きする必要がなく、パソコンでも作成できる
・不備があって無効になるリスクが高い
・作成の手間は公正証書遺言とあまり変わらない
・法務局の保管制度を利用できない
・相続人に発見してもらえない可能性がある
・相続人は検認手続が必要

6 遺言書の作成は弁護士にご相談ください

将来のために今から遺言をのこしておいたほうがよいことは分かっても、だからといってすぐに書き始められる方は少ないのではないでしょうか。

たとえば、ご自身の所有する不動産の相続について書く場合、不動産を正しく特定するためには、登記事項証明書に従い、住所だけではなく地目や地積など、普段は意識しない細かい部分まで記述するのが一般的です。

このように、お一人で遺言を書くとなると、何をどこまで書くべきなのか判断するのがなかなか大変です。

せっかく将来のトラブルを予防するために遺言書作成をしたのに、万が一遺言書の内容や方式に不備があって無効になるようなことがあっては、元も子もありません。

また、遺言書の内容に偏りがあることで、かえってトラブルの原因になってしまう可能性もあります(遺留分など)。

遺言書の作成には、実は法的な知識が非常に大切なのです。

当事務所では、お一人お一人の状況にあわせて丁寧な遺言書作成サポートを行っております。

ご自身がどのように考えているのか、まずは現在の考えをお伺いして、将来的に起こりうるトラブルの可能性もあわせてご説明します。

様々なリスクに備え、ぜひ一緒に文面を考えていきましょう。

また、遺言内容によっては遺言執行者も必要です。

遺言執行者は、遺言の実現に際して必要な手続きを行うと同時に、遺言書が本当に遂行されたか、責任を持って最後まで見届ける役割を果たします。

弁護士は相続手続きにも慣れている法律の専門家ですから、遺言執行者には最適です。

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